位相空間論15:局所コンパクト空間

Euclid空間 $\mathbb{R}^n$ はコンパクトではないが、その各点は閉円板というコンパクトな近傍をもつ。このように、どの点もコンパクトな近傍をもつというEuclid空間の性質を抽出して、局所コンパクト空間の概念が得られる。局所コンパクトHausdorff空間には様々な良い性質がある。たとえば完備距離空間と同じようにBaireのカテゴリー定理が成り立ち、また一点コンパクト化という方法で一点を付加してコンパクトHausdorff空間を得ることができる。

入門テキスト「位相空間論」

  • 位相空間論15:局所コンパクト空間

定義 15.1 (局所コンパクト空間)

位相空間 $X$ が局所コンパクト(locally compact)であるとは、任意の $x\in X$ に対して、$x$ の $X$ における近傍であってコンパクトなものが存在することをいう。

例 15.2 (局所コンパクト空間と、そうでない空間の例)

Euclid空間 $\mathbb{R}^n$ は局所コンパクトである。実際、任意の $x\in\mathbb{R}^n$ に対して、$x$ を中心とする半径が $1$ の閉球体 $\overline{B}(x, 1)$ は $x$ のコンパクトな近傍となるからである。より一般に、$\mathbb{R}^n$ の任意の開集合 $U$ も局所コンパクトである。実際、$x\in U$ とすると、十分小さい $\varepsilon>0$ を取れば $\overline{B}(x,\varepsilon)$ は $U$ に含まれるが、この $\overline{B}(x, \varepsilon)$ は $x$ の $U$ におけるコンパクトな近傍を与えるからである。

局所コンパクトでない空間の例としては、例えば有理数全体の集合 $\mathbb{Q}$ に、$\mathbb{R}$ からの相対位相を入れたものが挙げられる。$\mathbb{Q}$ が局所コンパクトでないことを示すため、$0$ が $\mathbb{Q}$ においてコンパクトな近傍をもたないことを示そう。そこで、$C$ が $0$ の $\mathbb{Q}$ におけるコンパクトな近傍であったとして矛盾を導く。$C$ は $0$ の $\mathbb{Q}$ における近傍であるから、$r>0$ が存在して、$(-r, r)\cap\mathbb{Q}\subset C$ となる。無理数 $\alpha$ を、$\alpha\in (-r, r)$ となるように一つ取り固定する(たとえば、十分大きい $N\in\mathbb{N}$ に対して $\alpha=\sqrt{2}/N$ とおけばよい )。$\alpha$ の $\mathbb{R}$ における開近傍 $U$ を任意に与える。すると $U\cap (-r, r)$ は $\alpha$ の $\mathbb{R}$ における開近傍であるから、$\mathbb{Q}$ の $\mathbb{R}$ における稠密性により $U\cap (-r,r)\cap\mathbb{Q}\neq\emptyset$ であり、したがって $U\cap C\neq\emptyset$ である。$U$ は $\alpha$ の $\mathbb{R}$ における任意の開近傍であったから、$\alpha\in\operatorname{Cl}_\mathbb{R} C$ である。いま $C$ はHausdorff空間 $\mathbb{R}$ のコンパクト集合であるから、定理 11.11により、$C$ は $\mathbb{R}$ の閉集合である。よって、$\operatorname{Cl}_\mathbb{R} C=C$ であるので、$\alpha\in C$ である。ところが $C\subset\mathbb{Q}$ であるから、これは $\alpha$ が無理数であったことに反する。これで、$\mathbb{Q}$ が局所コンパクトでないことが示された。$\square$

定理 15.3 (Hausdorff空間が局所コンパクトであることの同値な条件)

$X$ をHausdorff空間とするとき、次は同値である。

  • (1) $X$ は局所コンパクトである。
  • (2) 任意の $x\in X$ と $x$ の $X$ における任意の開近傍 $U$ に対して、$x$ の $X$ における開近傍 $V$ であって $\operatorname{Cl}_X V\subset U$ かつ $\operatorname{Cl}_X V$ がコンパクトであるようなものが存在する。

証明

(2)$\Rightarrow$(1) を示す。(2) を仮定して、$x\in X$ とする。$x$ のコンパクトな近傍が存在することを示そう。いま、$X$ は $x$ の開近傍なので、(2)により $x$ の開近傍 $V$ であって $\operatorname{Cl}_X V$ がコンパクトとなるものが存在する。このとき、$\operatorname{Cl}_X V$ は $x$ のコンパクトな近傍である。

(1)$\Rightarrow$(2) を示す。$X$ を局所コンパクトHausdorff空間とし、$x\in X$ として $U$ を $x$ の $X$ における開近傍とする。このとき、$x$ の $X$ における開近傍 $V$ であって $\operatorname{Cl}_X V\subset U$ かつ $\operatorname{Cl}_X V$ がコンパクトとなるものが存在することを示せばよい。いま、$X$ は局所コンパクトなので、$x$ の $X$ におけるコンパクトな近傍 $K$ が存在する。$K$ は $x$ の $X$ における近傍なので、$X$ の開集合 $W$ であって $x\in W\subset K$ であるものが存在する。さて、いま $X$ はHausdorff空間であるから、その部分空間 $K$ もHausdorff空間であり、よって $K$ はコンパクトHausdorff空間である。したがって、定理 12.14により、$K$ は正規空間であり、とくに正則空間となる。$W\cap U$ は $X$ の開集合であって $K$ に含まれるから、$K$ の開集合である。よって、$W\cap U$ は $x$ の $K$ における開近傍となるので、$K$ の正則性と命題 12.4により、$x$ の $K$ における開近傍 $V$ であって、$\operatorname{Cl}_K V\subset W\cap U$ となるものが存在する。この $V$ が求める $x$ の $X$ における開近傍であることを示そう。

まず、$V$ は $K$ の開集合であるが、$V\subset W\subset K$ なので $V$ は $W$ の開集合でもある。しかし、$W$ は $X$ の開集合であったから、$V$ は $X$ の開集合となる。よって、$V$ は $x$ の $X$ における開近傍となっている。次に、$\operatorname{Cl}_K V$ はコンパクト空間 $K$ の閉集合なので命題 9.9によりコンパクトであるが、$X$ はHausdorff空間なので、定理 11.11により $\operatorname{Cl}_K V$ は $X$ の閉集合となる。このことと $V\subset \operatorname{Cl}_K V$ により、$\operatorname{Cl}_X V\subset \operatorname{Cl}_K V$ である。一方、命題 6.15により $\operatorname{Cl}_K V=K\cap \operatorname{Cl}_X V\subset\operatorname{Cl}_X V$ であるから、$\operatorname{Cl}_X V=\operatorname{Cl}_K V$ である。したがって、$\operatorname{Cl}_X V$ はコンパクト空間 $K$ の閉集合 $\operatorname{Cl}_K V$ に一致するからコンパクトとなり(命題 9.9)、しかも $\operatorname{Cl}_X V\subset W\cap U\subset U$ となる。これで、$V$ が求める $x$ の $X$ における開近傍であることが示された。$\square$

系 15.4 (局所コンパクトHausdorff空間は正則空間)

任意の局所コンパクトHausdorff空間は正則空間である。

証明

定理 15.3命題 12.5から直ちに分かる。$\square$

系 15.5 (局所コンパクトHausdorffであることは開集合・閉集合に継承される)

$X$ を局所コンパクトHausdorff空間とする。$A$ が $X$ の開集合あるいは閉集合であるならば、$A$ も局所コンパクトHausdorff空間である。

証明

$X$ はHausdorff空間なので、その部分空間である $A$ もHausdorff空間である。$A$ が局所コンパクトであることを示そう。

$A$ が閉集合であるとき、任意に $x\in A$ を与える。$X$ は局所コンパクトであるから、$x$ の $X$ におけるコンパクトな近傍 $K$ が存在する。このとき $K\cap A$ は $K$ の閉集合であるから、命題 9.9によりコンパクトである。しかも、$K\cap A$ は $x$ の $A$ における近傍である。よって、$K\cap A$ は $x$ の $A$ におけるコンパクトな近傍となるから、$A$ は局所コンパクトである。

次に、$A$ が開集合であるとして、任意に $x\in A$ を与える。すると、$A$ は $x$ の $X$ における開近傍であるから、$X$ が局所コンパクトHausdorff空間であることと定理 15.3により、$x$ の $X$ における開近傍 $V$ で $\operatorname{Cl}_X V$ はコンパクトで $\operatorname{Cl}_X V\subset A$ となるものが存在する。このとき $V=V\cap A$ だから $V$ は $x$ の $A$ における開近傍でもあり、よって $\operatorname{Cl}_X V$ は $x$ の $A$ におけるコンパクトな近傍である。したがって、$A$ は局所コンパクトである。$\square$

定義 15.6 (実数値連続関数の台)

$X$ を位相空間、$f\colon X\to\mathbb{R}$ を連続関数とする。このとき、 $$ \operatorname{supp} f=\operatorname{Cl}_X\{x\in X\,|\,f(x)\neq 0\} $$ とおき、$\operatorname{supp} f$ を $f$ の(support)と呼ぶ。定義から、$\operatorname{supp} f$ は $X$ の閉集合である。$\square$

定理 15.7 (局所コンパクトHausdorff空間におけるUrysohnの補題)

$X$ を局所コンパクトHausdorff空間、$K$ を $X$ のコンパクト集合、$U$ を $K\subset U$ であるような $X$ の開集合とする。このとき、 連続関数 $f\colon X\to [0,1]$ であって、$x\in K$ のとき $f(x)=1$ であり、しかも台 $\operatorname{supp} f$ が $U$ に含まれる コンパクト集合となるものが存在する。

証明

定理 15.3により、各 $x\in K$ に対して、$x$ の開近傍 $V_x$ であって $\operatorname{Cl} V_x$ がコンパクトで $\operatorname{Cl} V_x\subset U$ であるようなものが選べる。すると $\{V_x\,|\,x\in K\}$ は $K$ の $X$ における開被覆である。$K$ はコンパクトであるから、有限個の $x_1,\ldots, x_n\in K$ であって $K\subset\bigcup_{i=1}^n V_{x_i}$ となるものが存在する。$V=\bigcup_{i=1}^n V_i$ とおけば、$V$ は $X$ の開集合で $K\subset V$ である。しかも、$\operatorname{Cl} V=\bigcup_{i=1}^n \operatorname{Cl} V_{x_i}$ であり $\operatorname{Cl} V_{x_i}$ はコンパクトだから、命題 9.8により $\operatorname{Cl} V$ はコンパクトであり、しかも $\operatorname{Cl} V\subset U$ である。$X$ はHausdorff空間であるから、$\operatorname{Cl} V$ はコンパクトHausdorff空間であり、よって定理 12.14により $\operatorname{Cl} V$ は正規空間となる。

さて、$K$ はHausdorff空間 $X$ のコンパクト集合だから、定理 11.11により $X$ の閉集合であり、よって、$K$ は $\operatorname{Cl} V$ の閉集合でもある。また、$\operatorname{Cl} V\setminus V$ も $\operatorname{Cl} V$ の閉集合であり、$(\operatorname{Cl} V\setminus V)\cap K=\emptyset$ である。$\operatorname{Cl} V$ は正規空間であるから、Urysohnの補題(定理 12.15)により、連続関数 $g\colon \operatorname{Cl} V\to [0,1]$ であって、$x\in K$ のとき $g(x)=1$ であり、$x\in\operatorname{Cl} V\setminus V$ のとき $g(x)=0$ であるようなものが存在する。そこで、関数 $f\colon X\to [0,1]$ を次のように場合分けにより定義する。 $$ f(x)= \begin{cases} g(x) & x\in \operatorname{Cl} V\text{ のとき}\\ 0 & x\in X\setminus \operatorname{Cl} V\text{ のとき} \end{cases} $$ すると、制限 $f|_{\operatorname{Cl} V}$ は $g$ に一致するから連続であり、$f|_{X\setminus V}$ は $0$ を値とする定数関数だから連続である。$\operatorname{Cl} V,$ $X\setminus V$ は $X$ の閉集合で $\operatorname{Cl} V\cup(X\setminus V)=X$ を満たすから、命題 6.12により、$f$ は連続である。

あとは、この $f$ について $\operatorname{supp} f$ が $U$ に含まれるコンパクト集合であることを示せばよい。そこで、$W=\{x\in X\,|\,f(x)\neq 0\}$ とおく。このとき、$\operatorname{supp} f=\operatorname{Cl} W$ である。$f$ の定め方から、$W\subset V$ であるので、$\operatorname{supp} f\subset \operatorname{Cl} V$ である。いま、$\operatorname{Cl} V$ はコンパクトであり、$\operatorname{supp} f$ は $X$ の閉集合であるから、$\operatorname{supp} f$ はコンパクト空間 $\operatorname{Cl} V$ の閉集合となり、よって $\operatorname{supp} f$ は命題 9.9によりコンパクトとなる。さらに、$\operatorname{Cl} V\subset U$ であったから、$\operatorname{supp} f\subset U$ である。$\square$

定理 15.8 (局所コンパクトHausdorff空間におけるBaireのカテゴリー定理)

$X$ を局所コンパクトHausdorff空間とし、各 $n\in\mathbb{N}$ に対して $U_n$ が $X$ の稠密な開集合であるとする。このとき、$\bigcap_{n=1}^\infty U_n$ は $X$ の稠密な部分集合である。

証明

$x\in X$ とし、$V$ を $x$ の $X$ における開近傍とする。このとき、$V\cap\bigcap_{n=1}^\infty U_n\neq\emptyset$ であることを示せばよい。まず、$U_1$ が $X$ において稠密であることから、点 $x_1\in V\cap U_1$ が存在する。$X$ は局所コンパクトHausdorff空間なので、定理 15.3により、$x_1$ の開近傍 $V_1$ であって、$\operatorname{Cl} V_1$ がコンパクトで $\operatorname{Cl} V_1\subset V\cap U_1$ となるものが存在する。次に、$U_2$ が $X$ において稠密であることから、点 $x_2\in V_1\cap U_2$ が存在する。再び定理 15.3により、$x_2$ の開近傍 $V_2$ であって $\operatorname{Cl} V_2$ がコンパクトで $\operatorname{Cl} V_2\subset V_1\cap U_2$ となるものが存在する。$U_3$ が $X$ において稠密であることから、$x_3\in V_2\cap U_3$ が存在する。定理 15.3により、$x_3$ の開近傍 $V_3$ であって $\operatorname{Cl} V_3$ がコンパクトで $\operatorname{Cl} V_3\subset V_2\cap U_3$ であるものが存在する。この操作を繰り返して、$X$ の空でない開集合の列 $(V_n)_{n\in\mathbb{N}}$ を、各 $n\in\mathbb{N}$ に対して以下を満たすように取れる。

  • (1) $\operatorname{Cl} V_n$ はコンパクト
  • (2) $\operatorname{Cl} V_n\subset V_{n-1}\cap U_n$(ただし、$V_0=V$ とする)

すると、(1)(2)と定理 11.22により $\bigcap_{n=1}^\infty \operatorname{Cl} V_n\neq\emptyset$ である。そこで、点 $x\in \bigcap_{n=1}^\infty \operatorname{Cl} V_n$ を一つ取れば、(2)により $x\in V\cap\bigcap_{n=1}^\infty U_n$ であり、よって $V\cap\bigcap_{n=1}^\infty U_n\neq\emptyset$ である。これで、$\bigcap_{n=1}^\infty U_n$ が $X$ において稠密であることが示された。$\square$

次の二つの系は、完備距離空間についてのBaireのカテゴリー定理(定理 13.19)からその系(系 13.20および系 13.21)を導いたのと同様に導かれる。

系 15.9 (局所コンパクトHausdorff空間に対するBaire のカテゴリー定理の帰結)

$X$ を局所コンパクトHausdorff空間とし、$X\neq\emptyset$ とする。$(A_n)_{n=1}^\infty$ を $X$ の部分集合の列で $\bigcup_{n=1}^\infty A_n=X$ を満たすものとする。このとき、ある $n\in\mathbb{N}$ が存在して、$\operatorname{Int}\operatorname{Cl} A_n\neq\emptyset$ となる。$\square$

系 15.10 (局所コンパクトHausdorff空間と全疎集合)

空でない局所コンパクトHausdorff空間は、可算個の全疎集合の和集合に表すことができない。$\square$

次に、局所コンパクトHausdorff空間に一点を付加してコンパクトHausdorff空間を得る操作である一点コンパクト化について述べよう。

定義 15.11 (一点コンパクト化)

$X$ をコンパクトでない局所コンパクトHausdorff空間とする。このとき、$X$ に属していない一点 $\infty$ を考え、$X^+=X\cup\{\infty\}$ とおく。集合 $X^+$ の部分集合 $U$ が、次のどちらかを満たすとき、$U$ は $X^+$ の開集合であると定義しよう。

  • (1) $U$ は $X$ の開集合である。
  • (2) $\infty\in U$ であり、かつ、$X^+\setminus U$ はコンパクトである。

すると、次の命題で見るように開集合系の公理が満たされ、$X^+$ は $X$ を稠密な部分空間にもつコンパクトHausdorff空間となることが分かる。この $X^+$ を $X$ の一点コンパクト化(one-point compactification)という(なお、$X$ に属していない点 $\infty$ が実際に取れることについては注意 9.25を参照)。

命題 15.12 (一点コンパクト化の定義の正当化)

$X$ をコンパクトでない局所コンパクトHausdorff空間とするとき、上の定義のもとで、$X^+=X\cup\{\infty\}$ の開集合の全体は開集合系の公理を満たし、$X^+$ は位相空間となる。さらに、$X^+$ はコンパクトHausdorff空間となり、$X$ はその部分空間となる。また、$X$ は $X^+$ において稠密である。

証明

まず、空集合 $\emptyset$ は $X$ の開集合なので、$X^+$ の開集合である。$\infty\in X^+$ であって $X^+\setminus X^+=\emptyset$ はコンパクトだから、$X^+$ 自身も $X^+$ の開集合である。

次に、$U, V$ を $X^+$ の開集合とする。$U\cap V$ が $X^+$ の開集合であることを示そう。$U$ も $V$ も $X$ の開集合であれば、$U\cap V$ も $X$ の開集合であるから、$U\cap V$ は $X^+$ の開集合である。また、$U$ も $V$ も $\infty$ を要素にもち $X^+\setminus U,$ $X^+\setminus V$ がコンパクトであれば、$U\cap V$ も $\infty$ を要素にもち $X^+\setminus (U\cap V)=(X^+\setminus U)\cup(X^+\setminus V)$ はコンパクトであるから、$U\cap V$ は $X^+$ の開集合である。また、$U$ が $X$ の開集合で $\infty\in V$ であり $X^+\setminus V$ がコンパクトである場合は、$X$ がHausdorff空間であることにより $X^+\setminus V$ は $X$ の閉集合であるから、$X\setminus (X^+\setminus V)=X\cap V$ は $X$ の開集合であり、よって $U\cap V=(U\cap X)\cap V=U\cap(X\cap V)$ は $X$ の開集合であり、したがって $U\cap V$ は $X$ の開集合である。

さらに、$(U_\lambda)_{\lambda\in\Lambda}$ を $X^+$ の開集合からなる族とする。このとき $U=\bigcup_{\lambda\in\Lambda} U_\lambda$ が $X^+$ の開集合であることを示そう。いま、$\Lambda=\Lambda_1\cup\Lambda_2,$ $\lambda_1\cap\Lambda_2=\emptyset$ と表し、$\lambda\in\Lambda_1$ のときは $U_\lambda$ は $X$ の開集合であり、$\lambda\in\Lambda_2$ のときは $\infty\in U_\lambda$ であって $X^+\setminus U_\lambda$ がコンパクトであるようにできる。このとき、 $$ U_1=\bigcup_{\lambda\in\Lambda_1} U_\lambda,\quad U_2=\bigcup_{\lambda\in\Lambda_2} U_\lambda $$ とおけば $U=U_1\cup U_2$ である。また、$U_1$ は $X$ の開集合である。もし、$\Lambda_2=\emptyset$ であれば、$U=U_1$ であるから、$U$ は $X$ の開集合であり、したがって $X^+$ の開集合であることが分かる。そこで、以下では $\Lambda_2\neq\emptyset$ であるとし、$\lambda_0\in\Lambda_2$ を一つ固定しておく。すると $\infty\in U_{\lambda_0}\subset U_2$ であり、 $$ X^+\setminus U_2=\bigcap_{\lambda\in\Lambda_2}(X^+\setminus U_\lambda)\quad(\star) $$ である。いま、任意の $\lambda\in\Lambda_2$ に対して $X^+\setminus U_\lambda$ はHausdorff空間 $X$ のコンパクト集合だから、$X$ の閉集合となる。したがって、$\bigcap_{\lambda\in\Lambda_2}(X^+\setminus U_\lambda)$ はコンパクト空間 $X^+\setminus U_{\lambda_0}$ の閉集合となるから、コンパクトとなる。よって、上の式 $(\star)$ により、$X^+\setminus U_2$ はコンパクトとなる。すると、$\infty\in U_1\cup U_2=U$ であり、$X^+\setminus U=(X\setminus U_1)\cap(X^+\setminus U_2)$ と書けるから $X^+\setminus U$ はコンパクト空間 $X^+\setminus U_2$ の閉集合としてコンパクトとなる。したがって、$U$ は $X$ の開集合である。以上で、$X^+$ の開集合の定義が開集合系の公理を満たすことが確かめられ、$X^+$ が位相空間となることが分かった。

$X$ が $X^+$ の部分空間となっていることを確かめよう。まず、$U$ を $X$ の開集合とすると、$U$ は $X^+$ の開集合でもあり $U=U\cap X$ であるから、$U$ は $X$ 上の $X^+$ からの相対位相についても開集合である。逆に、$U$ が $X$ 上の $X^+$ からの相対位相について開集合であると仮定すると、$X^+$ の開集合 $V$ が存在して、$U=V\cap X$ となる。$V$ が $X$ の開集合であれば、$U=V$ により $U$ も $X$ の開集合である。$\infty\in V$ であって $X^+\setminus V$ がコンパクトである場合は、$X$ がHausdorff空間であることにより $X^+\setminus V$ は $X$ の閉集合であり、よって $U=V\cap X=V\setminus\{\infty\}=X\setminus(X^+\setminus V)$ は $X$ の開集合である。これで、$X$ の位相は $X^+$ からの相対位相に一致することが分かり、$X$ が $X^+$ の部分空間であることが示された。

$X^+$ がHausdorff空間であることを示そう。$x, y\in X^+,$ $x\neq y$ とする。$x$ と $y$ の $X^+$ における開近傍であって交わりが空であるものを見つけたい。$x, y\in X$ である場合は、$X$ がHausdorff空間であることにより、$X$ の開集合 $U,$ $V$ であって $x\in U,$ $y\in V,$ $U\cap V=\emptyset$ となるものが存在する。このとき $U,$ $V$ は $X^+$ の開集合でもあるから、$U,$ $V$ は求める開近傍となる。$x\in X,$ $y=\infty$ である場合、$X$ が局所コンパクトであることから、$x$ の $X$ におけるコンパクト近傍 $K$ が存在する。このとき、$x$ の $X$ における開近傍 $U$ で $U\subset K$ となるものが存在し、このとき $U$ は $X^+$ の開集合でもある。また $V=X^+\setminus K$ とおけば $V$ は $X^+$ の開集合で $y=\infty\in V$ である。しかも、$U\cap V=\emptyset$ である。これで、$X^+$ がHausdorff空間であることが示された。

次に、$X^+$ がコンパクトであることを示そう。そのため、$\mathcal{U}=\{U_\lambda\,|\,\lambda\in\Lambda\}$ を $X^+$ の開被覆とする。すると、$\Lambda=\Lambda_1\cup\Lambda_2,$ $\Lambda_1\cap\Lambda_2=\emptyset$ と表し、$\lambda\in\Lambda_1$ のときは $U_\lambda$ は $X$ の開集合であり $\lambda\in\Lambda_2$ のときは $\infty\in U_\lambda$ で $X^+\setminus U_\lambda$ がコンパクトであるようにできる。$\mathcal{U}$ が $X^+$ の開被覆であることから、ある $\lambda\in\Lambda$ に対して $\infty\in U_\lambda$ である。したがって $\Lambda_2\neq\emptyset$ でなければならない。そこで、$\lambda_0\in\Lambda_2$ を一つ固定する。このとき、$K=X^+\setminus U_{\lambda_0}$ とおくと $K$ は $X$ のコンパクト集合であり、よって $K$ は $X^+$ のコンパクト集合である。$\mathcal{U}$ は $K$ の $X^+$ における開被覆であるから、有限個の $\lambda_1,\ldots,\lambda_n\in\Lambda$ が存在して $K\subset\bigcup_{i=1}^n U_{\lambda_i}$ となる。よって、$X^+=U_{\lambda_0}\cup\bigcup_{i=1}^n U_{\lambda_i}$ である。これで、$X^+$ がコンパクトであることが示された。

最後に、$X$ が $X^+$ において稠密であることを示そう。そのためには、$\infty\in\operatorname{Cl}_{X^+} X$ であることさえ示せばよい。 そのため、$\infty$ の $X^+$ における開近傍 $U$ を任意に与える。すると $X^+\setminus U$ はコンパクトであるが、$X$ はコンパクトではないとしていたので $X^+\setminus U\neq X$ である。これは $U\cap X\neq\emptyset$ を意味する。これで $\infty\in\operatorname{Cl}_{X^+} X$ であることが示された。$\square$

命題 15.13 (一点コンパクト化との同相写像)

$X$ をコンパクトでない局所コンパクトHausdorff空間、$Y$ をコンパクトHausdorff空間とし、$y_0\in Y$ とする。$h\colon X\to Y\setminus\{y_0\}$ が同相写像であるとき、$\tilde{h}\colon X^+\to Y$ を $\tilde{h}|_X=h$ および $\tilde{h}(\infty)=y_0$ で定めれば、$\tilde{h}$ も同相写像となる。

証明

$\tilde{h}\colon X^+\to Y$ は明らかに全単射である。もし、$\tilde{h}$ が連続であることが示されれば、$X^+$ がコンパクトで $Y$ がHausdorff空間であることにより、 系 11.14により $\tilde{h}$ は同相写像であると分かる。そこで、以下では $\tilde{h}$ の連続性を示そう。そのため、$Y$ の開集合 $V$ を任意に与える。$y_0\notin Y$ であれば、$\tilde{h}^{-1}(V)=h^{-1}(V)$ であり $h^{-1}(V)$ は $h$ の連続性により $X$ の開集合であるから、$\tilde{h}^{-1}(V)$ は $X$ の開集合であり、したがって $X^+$ の開集合である。$y_0\in Y$ であれば、$\infty\in\tilde{h}^{-1}(V)$ であり、$X^+\setminus\tilde{h}^{-1}(V)=X\setminus h^{-1}(V)=h^{-1}(Y\setminus V)$ となる。$Y\setminus V$ はコンパクト空間 $Y$ の閉集合としてコンパクトとなり、$h^{-1}$ は連続であるから、$h^{-1}(Y\setminus V)$ はコンパクトである。よって、$X^+\setminus\tilde{h}^{-1}(V)$ はコンパクトである。よって、$\tilde{h}^{-1}(V)$ は $X^+$ の開集合である。以上で、$\tilde{h}$ が連続であることが示された。$\square$

例 15.14 ($n$ 次元Euclid空間の一点コンパクト化は $n$ 次元球面と同相)

$n$ 次元単位球面 $$ S^n=\{(x_1,\ldots, x_{n+1})\in\mathbb{R}^{n+1}\,|\,x_1^2+\cdots+x_{n+1}^2=1\} $$ の「北極」に当たる点 $p_0=(0,\ldots,0,1)\in S^n$ を考える。$\mathbb{R}^n$ の点 $(x_1,\ldots, x_n)$ を $\mathbb{R}^{n+1}$ の点 $(x_1,\ldots, x_n,0)$ と同一視することで $\mathbb{R}^n\subset\mathbb{R}^{n+1}$ であると見なそう。各 $x\in\mathbb{R}^n$ に対して、$x$ と $p_0$ を通る $\mathbb{R}^{n+1}$ 内の直線は、$S^n$ とただ一つの点で交わる。その交点を $h(x)$ とおくと、全単射 $h\colon \mathbb{R}^n\to S^n\setminus\{p_0\}$ が得られる。実際に $h$ を式で表せば、$x=(x_1,\ldots, x_n)\in\mathbb{R}^n$ に対して $\|x\|=\sqrt{x_1^2+\cdots+x_n^2}$ とするとき $$ h(x)=\left(\dfrac{2}{\|x\|^2+1}x, \dfrac{\|x\|^2-1}{\|x\|^2+1}\right) $$ となり、$h$ は連続と分かる。また、逆写像 $h^{-1}\colon S^n\setminus\{p_0\}\to\mathbb{R}^n$ は $$ h^{-1}(y_1,\ldots,y_{n+1})=\left(\dfrac{y_1}{1-y_{n+1}},\ldots,\dfrac{y_n}{1-y_{n+1}}\right) $$ で与えられ、$h^{-1}$ も連続と分かる。以上により、$h\colon\mathbb{R}^n\to S^n\setminus\{p_0\}$ は同相写像である。 よって、命題 15.13により、$\tilde{h}\colon(\mathbb{R}^n)^+\to S^n$ を $\tilde{h}|_{\mathbb{R}^n}=h$ および $\tilde{h}(\infty)=p_0$ で定めれば $\tilde{h}$ は同相写像である。したがって、Euclid空間 $\mathbb{R}^n$ の一点コンパクト化 $(\mathbb{R}^n)^+$ は $n$ 次元球面 $S^n$ と同相である。

なお、上で得られた同相写像 $h^{-1}\colon S^n\setminus\{p_0\}\to\mathbb{R}^n$ は立体射影(stereographic projection)の名で知られている。$\square$

命題 15.15 (Hausdorff空間の局所コンパクト部分集合はその閉包の中で開集合)

$X$ をHausdorff空間とし、$Y\subset X$ とする。$Y$ が $X$ からの相対位相について局所コンパクトであるならば、$Y$ は $\operatorname{Cl}_X Y$ の開集合である。

証明

最初に、$X=\operatorname{Cl}_X Y$ である場合、つまり $Y$ が $X$ において稠密である場合に証明する。 このときは、$Y$ が $X$ の開集合であることを示せばよい。そこで、$y\in Y$ を任意に与える。$y$ の $X$ における開近傍 $V$ であって $V\subset Y$ となるものが存在することを示せばよい。$X$ はHausdorff空間であるから、その部分空間 $Y$ もHausdorff空間であり、よって $Y$ は局所コンパクトHausdorff空間である。したがって、定理 15.3により、$y$ の $Y$ における開近傍 $U$ であって $\operatorname{Cl}_Y U$ がコンパクトであるようなものが存在する。$X$ における開集合 $V$ を、$U=V\cap Y$ となるように取る。すると、$V$ は $y$ の $X$ における開近傍である。このとき、 $$ \operatorname{Cl}_Y U=\operatorname{Cl}_X U\qquad(\star) $$ となることを証明しよう。まず、$\operatorname{Cl}_Y U=Y\cap \operatorname{Cl}_X U\subset\operatorname{Cl}_X U$ であるから、$\operatorname{Cl}_Y U\subset\operatorname{Cl}_X U$ である。他方、$\operatorname{Cl}_Y U$ はHausdorff空間 $X$ のコンパクト集合だから、定理 11.11により、$X$ の閉集合である。このことと $U\subset\operatorname{Cl}_Y U$ により、$\operatorname{Cl}_X U\subset\operatorname{Cl}_Y U$ である。以上で、$(\star)$ が証明された。次に、 $$ \operatorname{Cl}_X U=\operatorname{Cl}_X V\qquad(\star\star) $$ となることを証明しよう。まず、$U=V\cap Y\subset V$ であるから、$\operatorname{Cl}_X U\subset\operatorname{Cl}_X V$ である。逆の包含を示すため、$x\in\operatorname{Cl}_X V$ とする。$x$ の $X$ における開近傍 $W$ を任意に与えると、$W\cap V\neq\emptyset$ である。よって、$Y$ が $X$ において稠密であることと命題 4.11により、$W\cap U=W\cap V\cap Y\neq\emptyset$ である。$W$ は $x$ の $X$ における任意の開近傍であったから、これで $x\in\operatorname{Cl}_X U$ が示された。これで、$(\star\star)$ が証明された。$(\star)$ と $(\star\star)$ により、 $$ \operatorname{Cl}_Y U=\operatorname{Cl}_X V $$ である。この式から、$V\subset\operatorname{Cl}_X V=\operatorname{Cl}_Y U\subset Y$ となり、$V\subset Y$ である。$V$ は $y$ の $X$ における開近傍であるから、これで $Y$ が $X$ の開集合であることが示された。

次に、$Y$ が $X$ において稠密とは限らない一般の場合について証明する。このときは、$Z=\operatorname{Cl}_X Y$ とおけば、 $$ \operatorname{Cl}_Z Y=Z\cap \operatorname{Cl}_X Y=Z $$ であるから $Y$ は $Z$ において稠密である。しかも、$Z$ は $X$ の部分空間であるからHausdorff空間である。したがって、すでに示した場合から、$Y$ は $Z$ の開集合である。すなわち、$Y$ は $\operatorname{Cl}_X Y$ の開集合である。$\square$

命題 15.16 (局所コンパクトHausdorff空間の部分集合が局所コンパクトであるための条件)

$X$ を局所コンパクトHausdorff空間とし、$Y$ を $X$ の部分集合とするとき、次は同値である。

  • (1) $Y$ は $X$ からの相対位相について局所コンパクトである。
  • (2) $X$ の開集合 $U$ と $X$ の閉集合 $F$ が存在して $Y=U\cap F$ と表される。

証明

(1)$\Rightarrow$(2) を示す。(1) を仮定すると、命題 15.15により $F=\operatorname{Cl}_X Y$ とおくと $Y$ は $F$ の開集合である。すなわち、$X$ のある開集合 $U$ に対して $Y=U\cap F$ となる。$F$ は $X$ の閉集合であるから、(2)が成り立つことが示された。

(2)$\Rightarrow$(1) を示す。(2) のように $Y=U\cap F$ と表されたとしよう。$F$ は $X$ の閉集合なので、系 15.5から $U$ は($X$ からの相対位相について)局所コンパクトHausdorff空間である。$Y=U\cap F$ は $F$ の開集合だから、再び系 15.5から $Y$ は局所コンパクトHausdorff空間となる。$\square$

最後に、局所コンパクト性が重要となる例として、直積空間と商写像との関係について述べる。

定義 15.16 (連続写像の直積)

$f\colon X\to X'$ および $g\colon Y\to Y'$ を連続写像とする。このとき写像 $f\times g \colon X\times Y\to X'\times Y'$ を $$ (f\times g)(x, y)=(f(x), g(y))\quad (x\in X,\, y\in Y) $$ により定義すると、$f\times g$ は連続となる。実際、$p_X\colon X\times Y\to X$ と $p_Y\colon X\times Y\to Y$ を射影とすると、$f\times g$ の定義は $$ (f\times g)(u)=(f\circ p_X(u), g\circ p_Y(u))\quad (u\in X\times Y) $$ と書くことができ、$f\circ p_X,$ $g\circ p_Y$ は連続だから、注意 8.6を用いて、$f\times g$ は連続となることが分かる。$f\times g$ を $f$ と $g$ の直積という。

命題 15.17 (直積空間の開集合とコンパクト集合)

$X, Y$ を位相空間とし、$U$ を直積空間 $X\times Y$ の開集合とする。$K$ が $X$ のコンパクト集合であるとき、 $$ V=\{y\in Y\,|\,K\times\{y\}\subset U\} $$ は $Y$ の開集合である。

証明

$F=(K\times Y)\setminus U$ とおくと、$F$ は $K\times Y$ の閉集合である。$p\colon K\times Y\to Y$ を射影とすると、命題 9.23により $p$ は閉写像である。よって、$p(F)$ は $Y$ の閉集合であるが、$y\in Y$ に対する同値性 $$ \begin{aligned} y\in p(F) &\iff \text{ある }x\in K{ に対して }(x,y)\in F\\ &\iff \text{ある }x\in K{ に対して }(x,y)\notin U\\ &\iff K\times\{y\}\not\subset U\\ &\iff y\notin V \end{aligned} $$ により $V=Y\setminus p(F)$ であるから、$V$ は $Y$ の開集合である。$\square$

定理 15.18 (局所コンパクトHausdorff空間との直積と商写像)

$X$ を局所コンパクトHausdorff空間、$Y, Z$ を位相空間とし、$f\colon Y\to Z$ を商写像とする。このとき、直積 $\operatorname{id}_X\times f\colon X\times Y\to X\times Z$ は商写像である。

証明

記号を簡単にするため $F=\operatorname{id}_X\times f$ とおく。$f$ は商写像なので全射であるから、$F$ も全射である。$W\subset X\times Z$ とし、$F^{-1}(W)$ が $X\times Y$ の開集合であるとする。このとき $W$ が $X\times Z$ の開集合であることを示せば、命題 7.9によって $F$ が商写像であることが示され証明が終わる。

そこで、$(x_0, z_0)\in W$ を任意に与える。$f$ は全射であるから、$y_0\in Y$ であって $f(y_0)=z_0$ となるものが存在する。すると $F(x_0,y_0)=(\operatorname{id}_X\times f)(x_0, y_0)=(x_0, f(y_0))=(x_0, z_0)\in W$ なので、$(x_0, y_0)\in F^{-1}(W)$ である。$F^{-1}(W)$ は $X\times Y$ の開集合であるから、$x_0$ の $X$ における開近傍 $U_0$ と $y_0$ の $Y$ における開近傍 $V_0$ であって $U_0\times V_0\subset F^{-1}(W)$ となるものが存在する。さらに、$X$ は局所コンパクトHausdorff空間であるから、定理 15.3により、$x_0$ の $X$ における開近傍 $U$ であって、$\operatorname{Cl} U$ がコンパクトであって $\operatorname{Cl} U\subset U_0$ となるものが存在する。すると、$\operatorname{Cl} U\times\{y_0\}\subset U_0\times V_0\subset F^{-1}(W)$ である。命題 15.17により、 $$ V=\{y\in Y\,|\,\operatorname{Cl} U\times\{y\}\subset F^{-1}(W)\} $$ は $Y$ の開集合である。しかも、$y_0 \in V$ であるから、$z_0=f(y_0)\in f(V)$ であり、よって $$ (x_0, z_0)\in U\times f(V)\subset\operatorname{Cl} U\times f(V)=(\operatorname{id}_X\times f)(\operatorname{Cl} U\times V)=F(\operatorname{Cl} U\times V)\subset W $$ である。あとは、$f(V)$ が $Z$ の開集合であることを示せばよい。そのためには $V=f^{-1}(f(V))$ を示せばよい。実際、これが言えれば $f^{-1}(f(V))$ は $Y$ の開集合であるから、$f\colon Y\to Z$ が商写像であったことと命題 7.9により $f(V)$ は $Z$ の開集合となる。$V\subset f^{-1}(f(V))$ は明らかである。逆の包含を示すため、$y\in f^{-1}(f(V))$ としよう。すると、$f(y)\in f(V)$ であるから、$y'\in V$ であって $f(y')=f(y)$ となるものが存在する。$y'\in V$ であるから、$V$ の定義により $\operatorname{Cl} U\times\{y'\}\subset F^{-1}(W)$ であり、よって $$ \begin{aligned} F(\operatorname{Cl} U\times\{y\})&=(\operatorname{id}_X\times f)(\operatorname{Cl} U\times\{y\})\\ &=\operatorname{Cl} U\times\{f(y)\}\\ &=\operatorname{Cl} U\times\{f(y')\}\\ &=F(\operatorname{Cl} U\times\{y'\})\\ &\subset W \end{aligned} $$ となるから、$\operatorname{Cl} U\times\{y\}\subset F^{-1}(W)$ である。すなわち、$y\in V$ である。これで、$f^{-1}(f(V))=V$ が示され、証明が終わった。$\square$

例 15.19 (商写像と恒等写像との直積が商写像でない例)

定理 15.18の結論は、$X$ が局所コンパクトHausdorff空間であるという仮定なしには成り立たない。そのことを示す例を挙げよう。$X=\mathbb{R}\setminus\{1/i\,|\,i\in\mathbb{N}\},$ $Y=\mathbb{R}$ とおき、$X$ の位相は $\mathbb{R}$ からの相対位相とする。$Y$ 上の同値関係 $\sim$ を、 $$ x\sim y\iff x=y\text{ または }(x\in\mathbb{Z}\text{ かつ }y\in\mathbb{Z}) $$ により定義し、$Z=Y/\mathord{\sim}$ を商空間として $f\colon Y\to Z$ を射影とする。すると $f$ は商写像であるが、このとき直積 $F=\operatorname{id}_X\times f\colon X\times Y\to X\times Z$ が商写像でないことを示そう。そのためには、命題 7.9により、$X\times Z$ のある部分集合 $B$ であって、$F^{-1}(B)$ は $X\times Y$ の閉集合であるが $B$ が $X\times Z$ の閉集合でないようなものが存在することを示せばよい。まず、 $$ A=\{(x,y)\in X\times Y\,|\,xy=1\text{ かつ }y\geq 0\} $$ とおけば、$A$ は $X\times Y$ の閉集合である。$A$ の点 $(x, y)$ の第二成分 $y$ は整数になり得ないことに注意すれば、$F^{-1}(F(A))=A$ であることが分かる。そこで、$B=F(A)\subset X\times Z$ とおけば、$F^{-1}(B)=A$ となるので $F^{-1}(B)$ は $X\times Y$ の閉集合である。ところが、$B$ は $X\times Z$ の閉集合ではない。それを示すためには $\operatorname{Cl}_{X\times Z} B\neq B$ を言えばよく、そのためには $(0, f(0))\in \operatorname{Cl}_{X\times Z} B\setminus B$ を示せばよい。まず、$A\cap(\{0\}\times Y)=\emptyset$ であることから、$(0, f(0))\notin B$ であることが分かる。$(0, f(0))\in\operatorname{Cl}_{X\times Z} B$ を示すため、$0$ の $X$ における開近傍 $U$ と $f(0)$ の $Z$ における開近傍 $V$ を任意に与える。すると、ある $n\in\mathbb{N}$ に対して $(-1/n, 1/n)\cap X\subset U$ である。また $f^{-1}(V)$ は$Y=\mathbb{R}$ の開集合で $f^{-1}(f(0))=\mathbb{Z}$ を含むから、$0<\delta<1$ となる $\delta$ が存在して $n+\delta\in f^{-1}(V)$ となる。このとき $(1/(n+\delta), n+\delta)\in A\cap (U\times f^{-1}(V))=A\cap F^{-1}(U\times V)$ であるから、$A\cap F^{-1}(U\times V)\neq\emptyset$ であり、よって $B\cap (U\times V)=F(A)\cap (U\times V)\neq\emptyset$ である。これで $(0, f(0))\in \operatorname{Cl}_{X\times Z} B$ が示され、$F=\operatorname{id}_X\times f\colon X\times Y\to X\times Z$ が商写像でないことが示された。

この結果と定理 15.18から、$X$ は局所コンパクトではあり得ないことが分かるが、実際、$0$ の $X$ におけるコンパクトな近傍が存在しないことが次のようにして示せる。$K$ が $0$ の $X$ におけるコンパクトな近傍であったとして矛盾を導こう。$K$ は $0$ の近傍なので、ある $n\in\mathbb{N}$ が存在して $(-1/n, 1/n)\cap X\subset K$ である。したがって、$(1/(n+1), 1/n)\subset K$ である。$K$ は $\mathbb{R}$ のコンパクトな部分集合なので、$K$ は $\mathbb{R}$ の閉集合である。よって、$1/n\in\operatorname{Cl}_\mathbb{R} (1/(n+1), 1/n)\subset \operatorname{Cl}_\mathbb{R} K=K\subset X$ となり、$1/n\in X$ が得られるが、$X$ の定義により $1/n\notin X$ であるから矛盾する。$\square$

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Last-modified: 2021-01-10 (日) 15:10:18 (95d)