測度と積分3:測度論の基本定理(1)

この章では、積分の基本定理であるLebesgue優収束定理、Tonelli-Fubiniの定理について述べる。Lebesgue優収束定理は測度と積分2:測度空間上の積分で述べた単調収束定理と共に極限と積分の順序交換について正当化する定理である。またTonelli-Fubiniの定理は積分が累次積分で表されることや累次積分が順序に依らないことについて正当化する定理である。これらは積分を運用していく際に非常に汎用される基本定理である。また、測度論を用いた証明の技術的なところで基本的になる単調族定理やCarathéodoryの拡張定理についても述べる。これらはTonelli-Fubiniの定理の証明でも用いられる。

<<現在工事中>>

入門テキスト「測度と積分」

  • 測度と積分3:測度論の基本定理(1)

11. Fatouの補題、Lebesgue優収束定理

補題11.1(Fatouの補題)

$(X,\mathfrak{M},\mu)$ を測度空間、$(f_n)_{n\in \mathbb{N}}$ を非負値可測関数の列とする。このとき、 $$ \int_{X}\sup_{n\in \mathbb{N}}\inf_{k\geq n}f_k(x)d\mu(x)\leq \sup_{n\in\mathbb{N}}\inf_{k\geq n}\int_{X}f_k(x)d\mu(x)\quad\quad(*) $$ が成り立つ。( $\inf_{k\geq n}f_k$、$\sup_{n\in \mathbb{N}}\inf_{k\geq n}f_k$ の可測性については命題4.8を参照。 )

証明

$g_n:=\inf_{k\geq n}f_k$ とおくと $(g_n)_{n\in \mathbb{N}}$ は非負値可測関数の各点単調増加列であるから、単調収束定理より、 $$ \int_{X}\sup_{n\in\mathbb{N}}g_n(x)d\mu(x)=\sup_{n\in\mathbb{N}}\int_{X}g_n(x)d\mu(x) $$ が成り立つ。また積分の単調性より、 $$ \int_{X}g_n(x)d\mu(x)\leq \inf_{k\geq n}\int_{X}f_k(x)d\mu(x)\quad(\forall n\in\mathbb{N}) $$ が成り立つ。よって、 $$ \int_{X}\sup_{n\in\mathbb{N}}g_n(x)d\mu(x)=\sup_{n\in\mathbb{N}}\int_{X}g_n(x)d\mu(x)\leq \inf_{k\geq n}\int_{X}f_k(x)d\mu(x) $$ であるので $(*)$ を得る。

定理11.2(Lebesgue優収束定理)

$(X,\mathfrak{M},\mu)$ を測度空間、$(f_n)_{n\in \mathbb{N}}$ を複素数値可測関数の列とし、次が成り立つとする。

  • $(1)$ 任意の $x\in X$ に対し $f(x):=\lim_{n\rightarrow\infty}f_n(x)\in \mathbb{C}$ が存在する。
  • $(2)$ 非負値の $h\in \mathcal{L}^1(X,\mathfrak{M},\mu)$ で $\lvert f_n(x)\rvert\leq h(x)$ $(\forall n\in\mathbb{N},\forall x\in X)$ を満たすものが存在する。

このとき $f,f_n\in \mathcal{L}^1(X,\mathfrak{M},\mu)$ $(\forall n\in\mathbb{N})$ であり、

$$ \int_{X}f(x)d\mu(x)=\lim_{n\rightarrow\infty}\int_{X}f_n(x)d\mu(x)\quad\quad(*) $$

が成り立つ。

証明

実部と虚部に分けて考えればよいので各 $f_n$ は実数値関数であるとして示せば十分である。 $$ f(x)=\lim_{n\rightarrow\infty} f_n(x)=\sup_{n\in\mathbb{N}}\inf_{k\geq n}f_k(x)=\inf_{n\in \mathbb{N}}\sup_{k\geq n}f_k(x)\quad(\forall x\in X)$$ であるので $f:X\rightarrow\mathbb{R}$ は可測関数である。 $$ \lvert f(x)\rvert=\lim_{n\rightarrow\infty}\lvert f_n(x)\rvert\leq h(x)\quad(\forall x\in X)\quad\quad(**) $$ であるから積分の単調性より $f,f_n\in \mathcal{L}^1(X,\mathfrak{M},\mu)$ $(\forall n\in \mathbb{N})$ である。$(h\pm f_n)_{n\in \mathbb{N}}$ は非負値可測関数の列であるのでFatouの補題と $(**)$ より、 $$ \int_{X}h(x)\pm f(x)d\mu(x)\leq \sup_{n\in \mathbb{N}}\inf_{k\geq n}\int_{X}h(x)\pm f_k(x)d\mu(x) $$ である。よって積分の線型性より、 $$ \int_{X}f(x)d\mu(x)\leq \sup_{n\in \mathbb{N}}\inf_{k\geq n}\int_{X}f_k(x)d\mu(x), $$

$$ -\int_{X}f(x)d\mu(x)\leq \sup_{n\in \mathbb{N}}\inf_{k\geq n}\left(-\int_{X}f_k(x)d\mu(x)\right)=-\inf_{n\in \mathbb{N}}\sup_{k\geq n}\int_{X}f_k(x)d\mu(x) $$ である。これより、 $$ \inf_{n\in \mathbb{N}}\sup_{k\geq n}\int_{X}f_k(x)d\mu(x) \leq \int_{X}f(x)d\mu(x)\leq \sup_{n\in \mathbb{N}}\inf_{k\geq n}\int_{X}f_k(x)d\mu(x) $$ であるから $(*)$ が成り立つ。

12. 半集合代数、有限加法族、単調族、単調族定理

定義12.1(半集合代数)

$X$ を空でない集合とする。$\mathcal{I}\subset 2^X$ が次の条件を満たすとき $\mathcal{I}$ を $X$ 上の半集合代数と言う。

  • $(1)$ $\emptyset\in\mathcal{I}$.
  • $(2)$ 任意の $E,F\in \mathcal{I}$ に対し $E\cap F\in \mathcal{I}$.
  • $(3)$ 任意の $E\in\mathcal{I}$ に対し $X\backslash E$ は互いに交わらない有限個の $\mathcal{I}$ の要素の合併である。

定義12.2(有限加法族)

$X$ を空でない集合とする。$\mathcal{A}\subset 2^X$ が次の条件を満たすとき $\mathcal{A}$ を $X$ 上の有限加法族と言う。

  • $(1)$ $X\in \mathcal{A}$.
  • $(2)$ 任意の $E\in\mathcal{A}$ に対し $X\backslash E\in \mathcal{A}$.
  • $(3)$ 任意の $E,F\in \mathcal{A}$ に対し $E\cup F\in \mathcal{A}$.

命題12.3

$\mathcal{A}$ を $X$ 上の有限加法族とする。このとき任意の $E,F\in \mathcal{A}$ に対し $E\cap F, E\backslash F\in \mathcal{A}$ が成り立つ。また有限加法族は半集合代数である。

証明

自明である。

定義12.4(単調族)

$X$ を空でない集合とする。$\mathcal{M}\subset 2^X$ が次の条件を満たすとき $\mathcal{M}$ を $X$ 上の単調族と言う。

  • $(1)$ $\mathcal{M}$ の任意の単調増加列 $(E_n)_{n\in\mathbb{N}}$ に対し $\bigcup_{n\in \mathbb{N}}E_n\in \mathcal{M}$.
  • $(2)$ $\mathcal{M}$ の任意の単調減少列 $(E_n)_{n\in \mathbb{N}}$ に対し $\bigcap_{n\in \mathbb{N}}E_n\in \mathcal{M}$.

命題12.5(有限加法族かつ単調族 $\Leftrightarrow$ $\sigma$-加法族)

集合 $X$ の部分集合族 $\mathfrak{M}\subset 2^X$ に対し、次は互いに同値である。

  • $(1)$ $\mathfrak{M}$ は $X$ 上の $\sigma$-加法族である。
  • $(2)$ $\mathfrak{M}$ は有限加法族かつ単調族である。

証明

$(1)\Rightarrow(2)$ は自明である。$(2)$ が成り立つとする。$\mathfrak{M}$ の任意の列 $(E_n)_{n\in \mathbb{N}}$ に対し、 $$ A_n:=\bigcup_{k=1}^{n}E_k\quad(\forall n\in \mathbb{N}) $$ とおけば、$(A_n)_{n\in \mathbb{N}}$ は $\mathfrak{M}$ の単調増加列であるから、 $$ \bigcup_{n\in \mathbb{N}}E_n=\bigcup_{n\in \mathbb{N}}A_n\in \mathfrak{M} $$ である。よって $\mathfrak{M}$ は $\sigma$-加法族である。

定義12.6(部分集合族から生成される有限加法族、単調族)

$X$ を空でない集合とする。空でない $\mathcal{I}\subset 2^X$ に対し $\mathcal{I}$ を含む $X$ 上の有限加法族(resp. 単調族)全ての交叉は $\mathcal{I}$ を含む 最小の有限加法族(resp. 単調族)である。これを $\mathcal{I}$ から生成される有限加法族(resp. 単調族)と言い、$\mathcal{A}(\mathcal{I})$、$\mathcal{M}(\mathcal{I})$ と表す。

命題12.7(半集合代数から生成される有限加法族の特徴付け)

$X$ 上の半集合代数 $\mathcal{I}$ から生成される有限加法族 $\mathcal{A}(\mathcal{I})$ は、 $$ \mathcal{A}(\mathcal{I})=\left\{\text{互いに交わらない有限個の }\mathcal{I}\text{ の要素の合併} \right\} $$ である。

証明

右辺を $\mathcal{A}$ とおく。$\mathcal{A}$ が有限加法族であることを示せば十分である。半集合代数の定義の $(2)$ より $\mathcal{A}$ は有限交叉で閉じているから、半集合代数の定義の $(3)$ より 任意の $E,F\in \mathcal{A}$ に対し $X\backslash E, F\backslash E\in \mathcal{A}$ である。$E, F\backslash E$ は互いに交わらないから $E\cup F=E\cup(F\backslash E)\in\mathcal{A}$ である。よって $\mathcal{A}$ は有限加法族である。

定理12.8(単調族定理)

$X$ 上の有限加法族 $\mathcal{A}$ に対し、$\sigma(\mathcal{A})=\mathcal{M}(\mathcal{A})$ が成り立つ。

証明

$\mathcal{M}(\mathcal{A})$ が $\sigma$-加法族であることを示せば十分である。 そのためには命題12.5より $\mathcal{M}(\mathcal{A})$ が有限加法族であることを示せばよい。任意の $A\in 2^X$ に対し、 $$ \mathcal{M}_A:=\{B\in 2^X: A\cup B,A\backslash B, B\backslash A\in \mathcal{M}(\mathcal{A})\} $$ とおくと、$\mathcal{M}_A$ は $X$ 上の単調族であり、$A,B\in 2^X$ に対し、 $$ B\in \mathcal{M}_A\quad\Leftrightarrow \quad A\in \mathcal{M}_B\quad\quad(*) $$ である。任意の $A,B\in \mathcal{A}$ に対し $B\in \mathcal{M}_A$ であるから、 $$ \mathcal{M}(\mathcal{A})\subset \mathcal{M}_A\quad(\forall A\in \mathcal{A}) $$ である。したがって 任意の $B\in \mathcal{M}(\mathcal{A})$ に対し、$B\in\mathcal{M}_A$ $(\forall A\in\mathcal{A})$ であるから、$(*)$ より $A\in\mathcal{M}_B$ $(\forall A\in\mathcal{A})$、つまり $\mathcal{A}\subset\mathcal{M}_B$ である。よって、 $$ \mathcal{M}(\mathcal{A})\subset \mathcal{M}_B\quad(\forall B\in \mathcal{M}(\mathcal{A})) $$ である。ゆえに $\mathcal{M}(\mathcal{A})$ は有限加法族である。

13. 半集合代数、有限加法族上の測度とCarathéodoryの拡張定理

定義13.1(半集合代数上の測度)

$X$ を空でない集合、$\mathcal{I}\subset 2^X$ を半集合代数とする。 $\mu:\mathcal{I}\rightarrow [0,\infty]$ が次の条件を満たすとき、$\mu$ を $\mathcal{I}$ 上の有限加法的測度と言う。

  • $(1)$ $\mu(\emptyset)=0$.
  • $(2)$ (有限加法性) 互いに交わらない有限個の $C_1,\ldots,C_n\in \mathcal{I}$ で $\bigcup_{j=1}^nC_j\in \mathcal{I}$ なるものに対し $\mu(\bigcup_{j=1}^{n}C_j)=\sum_{j=1}^{n}\mu(C_j)$.

さらに $\mu:\mathcal{I}\rightarrow[0,\infty]$ が次の条件を満たすとき $\mu$ を $\mathcal{I}$ 上の $\sigma$-加法的測度と言う。

  • $(3)$ ($\sigma$-加法性) $\mathcal{I}$ の非交叉列 $(C_n)_{n\in\mathbb{N}}$ で $\bigcup_{n\in \mathbb{N}}C_n\in \mathcal{I}$ なるものに対し $\mu(\bigcup_{n\in \mathbb{N}}C_n)=\sum_{n\in \mathbb{N}}\mu(C_n)$.

命題13.2(半集合代数 $\mathcal{I}$ 上の測度の $\mathcal{A}(\mathcal{I})$ 上の測度への一意拡張)

$\mathcal{I}\subset 2^X$ を集合 $X$ 上の半集合代数とし、$\mu_0:\mathcal{I}\rightarrow [0,\infty]$ を有限加法的測度とする。このとき $\mu_0$ は $\mathcal{A}(\mathcal{I})$ 上の有限加法的測度 $\mu$ に一意拡張できる。またもし $\mu_0$ が $\sigma$-加法的測度ならば $\mu$ も $\sigma$-加法的である。

証明

一意性は命題12.7による。存在を示す。任意の $A\in \mathcal{A}(\mathcal{I})$ に対し命題12.7より互いに交わらない有限個の $C_1,\ldots,C_n\in \mathcal{I}$ が存在し $A=\bigcup_{j=1}^{n}C_j$ と表せる。そこで、 $$ \mu(A):=\sum_{j=1}^{n}\mu_0(C_j) $$ と定義する。これはwell-definedである。実際、有限個の互いに交わらない $D_1,\ldots,D_m\in \mathcal{I}$ に対し $A=\bigcup_{k=1}^{m}D_k$ とも表せるとすると、$\mu_0$ の有限加法性より、 $$ \sum_{j=1}^{n}\mu_0(C_j)=\sum_{j=1}^{n}\sum_{k=1}^{m}\mu_0(C_j\cap D_k) =\sum_{k=1}^{m}\mu_0(D_k) $$ である。こうして定義される $\mu:\mathcal{A}(\mathcal{I})\rightarrow [0,\infty]$ は明らかに $\mu_0$ の拡張であり、有限加法的測度である。
$\mu_0$ が $\sigma$-加法的測度であると仮定して $\mu$ が $\sigma$-加法的測度であることを示す。 まず $\mathcal{I}$ の非交叉列 $(C_n)_{n\in \mathbb{N}}$ が $\bigcup_{n\in \mathbb{N}}C_n\in\mathcal{A}(\mathcal{I})$ を満たすとき $\mu(\bigcup_{n\in \mathbb{N}}C_n)=\sum_{n\in \mathbb{N}}\mu(C_n)$ が成り立つことを示す。命題12.7より互いに交わらない有限個の $D_1,\ldots,D_m\in \mathcal{I}$ が存在し、 $$ \bigcup_{n\in\mathbb{N}}C_n=\bigcup_{k=1}^{m}D_k $$ と表せる。よって $\mu$ の定義と $\mu_0$ の $\sigma$-加法性より、 $$ \mu\left(\bigcup_{n\in \mathbb{N}}C_n\right)=\sum_{k=1}^{m}\mu_0(D_k) =\sum_{k=1}^{m}\sum_{n\in\mathbb{N}}\mu_0(C_n\cap D_k) =\sum_{n\in \mathbb{N}}\sum_{k=1}^{m}\mu_0(C_n\cap D_k) =\sum_{n\in \mathbb{N}}\mu_0(C_n) $$ である。次に $\mathcal{A}(\mathcal{I})$ の非交叉列 $(A_n)_{n\in \mathbb{N}}$ が $\bigcup_{n\in \mathbb{N}}A_n\in \mathcal{A}(\mathcal{I})$ を満たすとき $\mu(\bigcup_{n\in \mathbb{N}}A_n)=\sum_{n\in \mathbb{N}}\mu(A_n)$ が成り立つことを示す。命題12.7より各 $n\in \mathbb{N}$ に対し互いに交わらない有限個の $C_{n,1},\ldots,C_{n,m(n)}\in \mathcal{I}$ が存在し $A_n=\bigcup_{k=1}^{m(n)}C_{n,k}$ と表せる。このとき $(C_{n,k})_{n,k}$ は互いに交わらず、$\bigcup_{n\in \mathbb{N}}A_n=\bigcup_{n\in \mathbb{N}}\bigcup_{k=1}^{m(n)}C_{n,k}$ であるから上で示したことより、 $$ \mu\left(\bigcup_{n\in \mathbb{N}}A_n\right) =\mu\left(\bigcup_{n\in \mathbb{N}}\bigcup_{k=1}^{m(n)}C_{n,k}\right) =\sum_{n\in \mathbb{N}}\sum_{k=1}^{m(n)}\mu(C_{n,k}) =\sum_{n\in \mathbb{N}}\mu(A_n) $$ である。これで $\mu$ の $\sigma$-加法性が示された。

命題13.3(有限加法族上の測度の基本性質)

$\mathcal{A}\subset 2^X$ を集合 $X$ 上の有限加法族とし、$\mu:\mathcal{A}\rightarrow[0,\infty]$ を有限加法的測度とする。次が成り立つ。

  • $(1)$ (単調性) $A\subset B$ なる任意の $A,B\in \mathcal{A}$ に対し $\mu(A)\leq \mu(B)$.
  • $(2)$ (有限劣加法性) 任意の有限個の $A_1,\ldots,A_n\in \mathcal{A}$ に対し $\mu(\bigcup_{j=1}^{n}A_j)\leq \sum_{j=1}^{n}\mu(A_j)$.

また、もし $\mu$ が $\sigma$-加法的測度であるならば、

  • $(3)$ ($\sigma$-劣加法性) $\mathcal{A}$ の列 $(A_n)_{n\in \mathbb{N}}$ で $\bigcup_{n\in \mathbb{N}}A_n\in \mathcal{A}$ なるものに対し $\mu(\bigcup_{n\in \mathbb{N}}A_n)\leq \sum_{n\in \mathbb{N}}\mu(A_n)$.

証明

  • $(1)$ $\mu(B)=\mu(A)+\mu(B\backslash A)\geq \mu(A)$.
  • $(2)$ $B_1:=A_1$、$B_k:=A_k\backslash(A_1\cup\ldots\cup A_{k-1})\in \mathcal{A}$ $(k=2,\ldots,n)$ とおくと $B_1,\ldots,B_n$ は互いに交わらず $\bigcup_{j=1}^{n}A_j=\bigcup_{j=1}^{n}B_j$ である。よって $\mu(\bigcup_{j=1}^{n}A_j)=\mu(\bigcup_{j=1}^{n}B_j)=\sum_{j=1}^{n}\mu(B_j)\leq \sum_{j=1}^{n}\mu(A_j)$ である。
  • $(3)$ $B_1:=A_1$、$B_n:=A_n\backslash (A_1\cup\ldots A_{n-1})\in\mathcal{A}$ $(\forall n\geq 2)$ とおくと $(B_n)_{n\in\mathbb{N}}$ は非交叉列であり $\bigcup_{n\in \mathbb{N}}A_n=\bigcup_{n\in \mathbb{N}}B_n$ である。よって $\mu(\bigcup_{n\in \mathbb{N}}A_n)=\mu(\bigcup_{n\in\mathbb{N}}B_n)=\sum_{n\in\mathbb{N}}\mu(B_n)\leq \sum_{n\in\mathbb{N}}\mu(A_n)$ である。

定義13.4($\sigma$-有限性)

$\mathcal{I}\subset 2^X$ を集合 $X$ 上の半集合代数とし、$\mu:\mathcal{I}\rightarrow [0,\infty]$ を測度とする。$\mu$ が $\sigma$-有限であるとは $\mathcal{I}$ の列 $(C_n)_{n\in \mathbb{N}}$ で、 $$ X=\bigcup_{n\in\mathbb{N}}C_n,\quad \mu(C_n)<\infty\quad(\forall n\in \mathbb{N}) $$ を満たすものが存在することを言う。

命題13.5(有限加法族上の測度の $\sigma$-有限性に関して)

$\mathcal{A}\subset 2^X$ を集合 $X$ 上の有限加法族とし、$\mu:\mathcal{A}\rightarrow[0,\infty]$ を $\sigma$-有限測度とする。このとき、

  • $(1)$ $\mathcal{A}$ の非交叉列 $(A_n)_{n\in \mathbb{N}}$ で $X=\bigcup_{n\in\mathbb{N}}A_n$、$\mu(A_n)<\infty$ $(\forall n\in\mathbb{N})$ なるものが取れる。
  • $(2)$ $\mathcal{A}$ の単調増加列 $(A_n)_{n\in \mathbb{N}}$ で $X=\bigcup_{n\in\mathbb{N}}A_n$、$\mu(A_n)<\infty$ $(\forall n\in\mathbb{N})$ なるものが取れる。

証明

$\sigma$-有限性より $X=\bigcup_{n\in\mathbb{N}}E_n$、$\mu(E_n)<\infty$ $(\forall n\in \mathbb{N})$ を満たす $\mathcal{A}$ の列 $(E_n)_{n\in \mathbb{N}}$ が取れる。$(1)$ については $A_1:=E_1$、$A_n:=E_n\backslash (E_1\cup\ldots \cup E_{n-1})$ $(\forall n\geq2)$ とおけばよく、$(2)$ については$A_n=\bigcup_{j=1}^{n}E_j$ $(\forall n\in \mathbb{N})$ とおけばよい。(有限加法族上の測度の単調性と有限劣加法性に注意。)

補題13.6(Carathéodory外測度)

$\mathcal{A}\subset 2^X$ を集合 $X$ 上の有限加法族、$\mu:\mathcal{A}\rightarrow[0,\infty]$ を $\sigma$-加法的測度とする。そして任意の $E\in 2^X$ に対し、 $$ \mu^*(E):=\inf\left\{\sum_{n\in \mathbb{N}}\mu(A_n):\{A_n\}_{n\in\mathbb{N}}\subset \mathcal{A},\text{}E\subset \bigcup_{n\in\mathbb{N}}A_n\right\} $$ として $\mu^*:2^X\rightarrow[0,\infty]$ を定義し、 $$ \mathfrak{M}:=\{A\in 2^X:\mu^*(E\cap A)+\mu^*(E\backslash A)=\mu^*(E)\text{ }(\forall E\in 2^X)\} $$ とおく。このとき次が成り立つ。

  • $(1)$ $\mu^*(\emptyset)=0$. また $\mu^*$ は単調、すなわち $E\subset F$ なる任意の $E,F\in 2^X$ に対し $\mu^*(E)\leq \mu^*(F)$.
  • $(2)$ $\mu^*$ は劣 $\sigma$-加法的、すなわち $2^X$ の任意の列 $(E_n)_{n\in \mathbb{N}}$ に対し $\mu^*(\bigcup_{n\in\mathbb{N}}E_n)\leq \sum_{n\in \mathbb{N}}\mu^*(E_n)$.
  • $(3)$ $\mathfrak{M}$ は $X$ 上の有限加法族。
  • $(4)$ $\mathfrak{M}$ の任意の非交叉列 $(A_n)_{n\in \mathbb{N}}$ に対し、 $$ \mu^*(E)=\sum_{n=1}^{N}\mu^*(E\cap A_n)+\mu^*\left(E\backslash \bigcup_{n=1}^{N}A_n\right)\quad(\forall E\in 2^X, \forall N\in \mathbb{N}). $$
  • $(5)$ $\mathfrak{M}$ は $X$ 上の $\sigma$-加法族。
  • $(6)$ $\mathfrak{M}\ni A\mapsto \mu^*(A)\in [0,\infty]$ は測度。
  • $(7)$ $\mathcal{A}\subset \mathfrak{M}$.
  • $(8)$ $\mu^*$ は $\mu$ の拡張。

証明

  • $(1)$ 自明である。
  • $(2)$ $\sum_{n\in \mathbb{N}}\mu^*(E_n)<\infty$ と仮定して示せばよい。任意の $\epsilon\in(0,\infty)$、任意の $n\in \mathbb{N}$ に対し $\{A_{n,m}\}_{m\in\mathbb{N}}\subset \mathcal{A}$ で、 $$ E_n\subset \bigcup_{m\in\mathbb{N}}A_{n,m},\quad \sum_{m\in\mathbb{N}}\mu^*(A_{n,m})<\mu^*(E_n)+\frac{\epsilon}{2^n} $$ なるものが取れる。このとき $\bigcup_{n\in \mathbb{N}}E_n\subset \bigcup_{n,m\in\mathbb{N}}A_{n,m}$ であり、 $$ \sum_{n,m\in\mathbb{N}}\mu(A_{n,m})<\sum_{n\in\mathbb{N}}\left(\mu^*(E_n)+\frac{\epsilon}{2^n} \right)=\sum_{n\in\mathbb{N}}\mu^*(E_n)+\epsilon $$ であるから、$\mu^*(\bigcup_{n\in \mathbb{N}}E_n)\leq \sum_{n\in \mathbb{N}}\mu^*(E_n)+\epsilon$ である。$\epsilon\in(0,\infty)$ は任意なので $\mu^*(\bigcup_{n\in \mathbb{N}}E_n)\leq \sum_{n\in \mathbb{N}}\mu^*(E_n)$ が成り立つ。
  • $(3)$ $X\in \mathfrak{M}$ であることと任意の $A\in \mathfrak{M}$ に対し $X\backslash A\in \mathfrak{M}$ であることは自明である。任意の $A,B\in \mathfrak{M}$、任意の $E\in 2^X$ に対し、劣加法性より、 $$ \begin{aligned} &\mu^*(E\cap(A\cup B))+\mu^*(E\backslash(A\cup B))\\ &\leq \mu^*(E\cap A\cap B)+\mu^*((E\cap A)\backslash B)+\mu^*((E\backslash A) \cap B)+\mu^*((E\backslash A)\backslash B)\\ &=\mu^*(E\cap A)+\mu^*(E\backslash A)=\mu^*(E) \end{aligned} $$ である。よって $\mu^*(E\cap(A\cup B))+\mu^*(E\backslash (A\cup B))\leq\mu^*(E)$ であり、逆の不等式も劣加法性より成り立つので $A\cup B\in \mathfrak{M}$ である。ゆえに $\mathfrak{M}$ は有限加法族である。
  • $(4)$ $N$ に関する帰納法で示す。$N=1$ の場合は自明。ある $N\in \mathbb{N}$ に対して成り立つと仮定する。 $$ E\cap A_{N+1}=\left(E\backslash \bigcup_{n=1}^{N}A_n\right)\cap A_{N+1},\quad E\backslash \bigcup_{n=1}^{N+1}A_n=\left(E\backslash \bigcup_{n=1}^{N}A_n\right)\backslash A_{N+1} $$ であるから、 $$ \begin{aligned} &\sum_{n=1}^{N+1}\mu^*(E\cap A_n)+\mu^*\left(E\backslash \bigcup_{n=1}^{N+1}A_n\right) =\sum_{n=1}^{N}\mu^*(E\cap A_n)+\mu^*(E\cap A_{N+1})+\mu^*\left(E\backslash \bigcup_{n=1}^{N+1}A_n\right)\\ &=\sum_{n=1}^{N}\mu^*(E\cap A_n)+\mu^*\left(E\backslash \bigcup_{n=1}^{N}A_n\right)=\mu^*(E) \end{aligned} $$ である。よって $N+1$ の場合も成り立つ。
  • $(5)$ $\mathfrak{M}$ の任意の非交叉列 $(A_n)_{n\in \mathbb{N}}$ と任意の $E\in 2^X$ に対し $(4)$ と単調性、劣 $\sigma$-加法性より、 $$ \mu^*(E)\geq \sum_{n\in \mathbb{N}}\mu^*(E\cap A_n)+\mu^*\left(E\backslash \bigcup_{n\in\mathbb{N}}A_n\right) \geq \mu^*\left(E\cap \bigcup_{n\in\mathbb{N}} A_n\right)+\mu^*\left(E\backslash \bigcup_{n\in\mathbb{N}}A_n\right) $$ であるから $\bigcup_{n\in \mathbb{N}}A_n\in \mathfrak{M}$ である。このことと $\mathfrak{M}$ が有限加法族であることから、$\mathfrak{M}$ の任意の列 $(A_n)_{n\in \mathbb{N}}$ に対し $\bigcup_{n\in \mathbb{N}}A_n\in \mathfrak{M}$ であるので、$\mathfrak{M}$ は $\sigma$-加法族である。
  • $(6)$ $\mathfrak{M}$ の任意の非交叉列 $(A_n)_{n\in \mathbb{N}}$ に対し $E=\bigcup_{n\in \mathbb{N}}A_n$ とおくと、$(4)$ より、 $$ \mu^*(E)\geq\sum_{n\in\mathbb{N}}\mu^*(E\cap A_n)=\sum_{n\in \mathbb{N}}\mu^*(A_n) $$ である。劣 $\sigma$-加法性より逆の不等式も成り立つ。よって $\mathfrak{M}\ni A\mapsto \mu^*(A)\in [0,\infty]$ は測度である。
  • $(7)$ 任意の $A\in \mathcal{A}$、任意の $E\in 2^X$ に対し、 $$ \mu^*(E\cap A)+\mu^*(E\backslash A)\leq \mu^*(E)\quad\quad(*) $$ が成り立つことを示せばよい。$\mu^*(E)<\infty$ とすると、任意の $\epsilon\in(0,\infty)$ に対し $\mathcal{A}$ の列 $(A_n)_{n\in \mathbb{N}}$ で、 $$ E\subset \bigcup_{n\in\mathbb{N}}A_n,\quad\sum_{n\in \mathbb{N}}\mu(A_n)<\mu^*(E)+\epsilon $$ なるものが取れる。$\mathcal{A}$ の列 $(A_n\cap A)_{n\in \mathbb{N}}$ と $(A_n\backslash A)_{n\in\mathbb{N}}$ はそれぞれ $E\cap A$ と $E\backslash A$ を被覆するから、 $$ \begin{aligned} \mu^*(E\cap A)+\mu^*(E\backslash A)\leq \sum_{n\in\mathbb{N}}\mu(A_n\cap A)+\sum_{n\in \mathbb{N}}\mu(A_n\backslash A)=\sum_{n\in \mathbb{N}}\mu(A_n)<\mu^*(E)+\epsilon \end{aligned} $$ である。よって $(*)$ が成り立つ。
  • $(8)$  任意の $A\in \mathcal{A}$ を取る。$\mu^*(A)\leq \mu(A)$ は自明。逆の不等式を示す。$A\subset \bigcup_{n\in \mathbb{N}}A_n$ なる $\mathcal{A}$ の任意の列 $(A_n)_{n\in \mathbb{N}}$ に対し、$\mu$ の劣 $\sigma$-加法性と単調性 (命題13.3) より、 $$ \mu(A)=\mu\left(\bigcup_{n\in \mathbb{N}}(A\cap A_n)\right) \leq \sum_{n\in \mathbb{N}}\mu(A_n) $$ であるから $\mu(A)\leq \mu^*(A)$ が成り立つ。

定理13.7(Carathéodoryの拡張定理)

$\mathcal{A}\subset 2^X$ を集合 $X$ 上の有限加法族、$\mu:\mathcal{A}\rightarrow[0,\infty]$ を $\sigma$-加法的測度とする。このとき $\mu$ は $\sigma(\mathcal{A})$ 上の測度に拡張できる。そしてもし $\mu$ が $\sigma$-有限ならば、その拡張は一意的である。

証明

拡張の存在は補題13.6による。$\mu$ が $\sigma$-有限であるとして拡張の一意性を示す。測度 $\mu_1,\mu_2:\sigma(\mathcal{A})\rightarrow[0,\infty]$ がそれぞれ $\mu$ の拡張であるとする。$\sigma$-有限性より $\mathcal{A}$ の非交叉列 $(A_n)_{n\in \mathbb{N}}$ で $X=\bigcup_{n\in\mathbb{N}}A_n$、$\mu(A_n)<\infty$ $(\forall n\in \mathbb{N})$ なるものが取れる(命題13.5)。任意の $n\in \mathbb{N}$ に対し、 $$ \mathcal{M}_n:=\{E\in \sigma(\mathcal{A}):\mu_1(E\cap A_n)=\mu_2(E\cap A_n)\} $$ とおくと、$\mathcal{M}_n$ は $\mathcal{A}$ を含む。また $\mu(A_n)<\infty$ であることと測度の単調収束性(命題6.3)より $\mathcal{M}_n$ は単調族である。よって単調族定理より、 $$ \mathcal{M}_n=\sigma(\mathcal{A})\quad(\forall n\in \mathbb{N}) $$ であるから、 $$ \mu_1(E\cap A_n)=\mu_2(E\cap A_n)\quad(\forall E\in \sigma(\mathcal{A}),\forall n\in\mathbb{N}) $$ が成り立つ。ゆえに任意の $E\in \sigma(\mathcal{A})$ に対し、 $$ \mu_1(E)=\sum_{n\in \mathbb{N}}\mu_1(E\cap A_n)=\sum_{n\in \mathbb{N}}\mu_2(E\cap A_n)=\mu_2(E) $$ である。これで一意性が示せた。

14. 直積測度、Tonelliの定理、Fubiniの定理

定理14.1($\sigma$-有限測度の直積測度の一意存在)

$(X_j,\mathfrak{M}_j,\mu_j)$ $(j=1,\ldots,N)$ をそれぞれ $\sigma$-有限測度空間とする。このとき直積可測空間 $(\prod_{j=1}^NX_j,\bigotimes_{j=1}^{N}\mathfrak{M}_j)$ 上の測度 $\mu$ で、 $$ \mu(E_1\times\ldots\times E_N)=\mu_1(E_1)\ldots \mu_N(E_N)\quad(\forall E_1\in\mathfrak{M}_1,\ldots,E_N\in \mathfrak{M}_N)\quad\quad(*) $$ を満たすものが唯一つ存在する。

証明

$\prod_{j=1}^{N}X_j$ 上の半集合代数 $$\mathfrak{M}_1\times\ldots\times\mathfrak{M}_N:=\{E_1\times\ldots\times E_N:E_1\in \mathfrak{M}_1,\ldots,E_N\in \mathfrak{M}_N\} $$ に対し、$\mu:\mathfrak{M}_1\times\ldots\times\mathfrak{M}_N\rightarrow[0,\infty]$ を $(*)$ により定義する。このとき $\mu$ は半集合代数上の $\sigma$-加法的測度である。実際、$\mathfrak{M}_1\times\ldots\times \mathfrak{M}_N$ の非交叉列 $(E_{1,n}\times\ldots\times E_{N,n})_{n\in \mathbb{N}}$ で、 $$ \bigcup_{n\in\mathbb{N}}E_{1,n}\times\ldots\times E_{N,n}\in \mathfrak{M}_1\times\ldots\times \mathfrak{M}_N $$ なるものを考え、$E_1\times\ldots\times E_N=\bigcup_{n\in\mathbb{N}}E_{1,n}\times\ldots\times E_{N,n}$ とおくと、 $$ \chi_{E_1}(x_1)\ldots\chi_{E_N}(x_N)=\sum_{n\in\mathbb{N}}\chi_{E_{1,n}}(x_1)\ldots\chi_{E_{N,n}}(x_N)\quad(\forall (x_1,\ldots,x_N)\in X_1\times\ldots\times X_N) $$ であるから、各変数ごとに単調収束定理(非負値可測関数列の和の項別積分)を順次適用することで、 $$ \mu_1(E_1)\ldots\mu_N(E_N)=\sum_{n\in\mathbb{N}}\mu_1(E_{1,n})\ldots\mu_N(E_{N,n}) $$ を得る。 よって $\mu$ は $\sigma$-加法的である。命題13.2より $\mu$ は $\mathcal{A}(\mathfrak{M}_1\times\ldots\times\mathfrak{M}_N)$ 上の $\sigma$-加法的測度に一意拡張できる。そして $\mu_1,\ldots,\mu_N$ の $\sigma$-有限性より $\mu$ は $\sigma$-有限であるから、Carathéodoryの拡張定理より、$\mu$ は $\bigotimes_{j=1}^{N}\mathfrak{M}_j=\sigma(\mathfrak{M}_1\times\ldots\times\mathfrak{M}_N)$ 上の測度に一意拡張できる。

定義14.2($\sigma$-有限測度の直積測度)

定理14.1における直積可測空間 $(\prod_{j=1}^NX_j,\bigotimes_{j=1}^{N}\mathfrak{M}_j)$ 上の測度 $\mu$ を $\mu_1,\ldots,\mu_N$ の直積測度と言い、$\mu_1\otimes\ldots\mu_N$ や $\otimes_{j=1}^{N}\mu_j$ などと表す。

補題14.3(基本補題)

$(X_j,\mathfrak{M}_j,\mu_j)$ $(j=1,\ldots,N)$ をそれぞれ $\sigma$-有限測度空間、$f:\prod_{j=1}^{N}X_j\rightarrow[0,\infty]$ を直積可測空間上の非負値可測関数とする。このとき任意の $k\in\{1,\ldots,N\}$、任意の $x_j\in X_j$ $(j\neq k)$ に対し、 $$ X_k\ni x_k\mapsto f(x_1,\ldots,x_k,\ldots,x_N)\in [0,\infty]\quad\quad(*) $$ は可測関数であり、 $$ X_1\times\ldots\widehat{X_k}\ldots\times X_N\ni (x_1,\ldots,\widehat{x_k},\ldots,x_N) \mapsto \int_{X_k}f(x_1,\ldots,x_k,\ldots,x_N)d\mu_k(x_k)\in [0,\infty]\quad\quad(**) $$ ($\widehat{X_k}$、 $\widehat{x_k}$ はそれぞれ $X_k$、$x_k$ を飛ばすことを意味する)は直積可測空間上の可測関数である。

証明

$x_j\in X_j$ $(j\neq k)$ を固定し、 $$ \iota_k:X_k\ni x_k\mapsto (x_1,\ldots,x_k,\ldots,x_N)\in X_1\times\ldots\times X_N $$ とおく。任意の $E_1\in\mathfrak{M}_1,\ldots,E_N\in \mathfrak{M}_N$ に対し $\iota_k^{-1}(E_1\times\ldots\times E_N)$ は $E_k$ か $\emptyset$ であるから $\iota_k$ は可測写像である(命題2.3)。$(*)$ は可測関数 $\iota_k$ と $f$ の合成であるから可測関数である。$(**)$ が可測関数であることを示すには、非負値可測関数の可測単関数の各点単調増加列による近似(定理5.5)と単調収束定理 より、ある $E\in\bigotimes_{j=1}^{N}\mathfrak{M}_j$ に対し $f=\chi_E$ であるとして示せば十分である。さらにそのためには $\mu_k$ の $\sigma$-有限性と単調収束定理より $\mu_k(A_k)<\infty$ なる $A_k\in\mathfrak{M}_k$ を取り、 $$ X_1\times\ldots\widehat{X_k}\ldots\times X_N\ni (x_1,\ldots,\widehat{x_k},\ldots,x_N) \mapsto \int_{X_k}\chi_E(x_1,\ldots,x_k,\ldots,x_N)\chi_{A_k}(x_k)d\mu_k(x_k)\in [0,\infty)\quad\quad(***) $$ が可測関数であることを示せば十分である。$E\in \mathfrak{M}_1\times\ldots\times\mathfrak{M}_N$ の場合は $(***)$ は明らかに可測関数である。よって命題12.7より $E\in \mathcal{A}(\mathfrak{M}_1\times\ldots\times \mathfrak{M}_N)$ の場合も $(***)$ は可測関数である。$x_j\in X_j$ $(j\neq k)$ を固定したとき、 $$ \bigotimes_{j=1}^{N}\mathfrak{M}_j\ni E\mapsto \int_{X_k}\chi_E(x_1,\ldots,x_k,\ldots,x_N)\chi_{A_k}(x_k)d\mu_k(x_k)\in [0,\infty) $$ は有限測度であるから、測度の単調収束性(命題6.3)より、 $(***)$ が可測関数となるような $E\in \bigotimes_{j=1}^{N}\mathfrak{M}_j$ 全体は単調族である。よって単調族定理より、任意の $E\in \bigotimes_{j=1}^{N}\mathfrak{M}_j=\sigma(\mathcal{A}(\mathfrak{M}_1\times\ldots\times\mathfrak{M}_N))$ に対し、$(***)$ は可測関数である。

定理14.4(Tonelliの定理)

$(X_j,\mathfrak{M}_j,\mu_j)$ $(j=1,\ldots,N)$ をそれぞれ $\sigma$-有限測度空間、$f:\prod_{j=1}^{N}X_j\rightarrow[0,\infty]$ を直積可測空間上の非負値可測関数、$\sigma$ を $N$ 次の置換とする。このとき、 $$ \begin{aligned} &\int_{\prod_{j=1}^{N}X_j}f(x_1,\ldots,x_N)d\otimes_{j=1}^{N}\mu_j(x_1,\ldots,x_N)\\ &=\int_{X_{\sigma(1)}}\left(\ldots\left(\int_{X_{\sigma(N)}}f(x_1,\ldots,x_N)d\mu_{\sigma(N)}(x_{\sigma(N)})\right)\ldots\right)d\mu_{\sigma(1)}(x_{\sigma(1)}) \end{aligned} $$ が成り立つ。(右辺の累次積分が意味を持つのは補題14.3による。)

証明

非負値可測関数の可測単関数の各点単調増加列による近似(定理5.5)と単調収束定理 より、ある $E\in\bigotimes_{j=1}^{N}\mathfrak{M}_j$ に対し $f=\chi_E$ であるとして示せば十分である。任意の $E\in \bigotimes_{j=1}^{N}\mathfrak{M}_j$ に対し、 $$ \mu(E):=\int_{X_{\sigma(1)}}\left(\ldots\left(\int_{X_{\sigma(N)}}\chi_E(x_1,\ldots,x_N)d\mu_{\sigma(N)}(x_{\sigma(N)})\right)\ldots\right)d\mu_{\sigma(1)}(x_{\sigma(1)}) $$ とおけば単調収束定理(非負値可測関数列の和の項別積分)より $\mu:\bigotimes_{j=1}^{N}\mathfrak{M}_j\rightarrow[0,\infty]$ は測度である。また明らかに、 $$ \mu(E_1\times\ldots\times E_N)=\mu_1(E_1)\ldots\mu_N(E_N)\quad(\forall E_1\in\mathfrak{M}_1,\ldots,E_N\in \mathfrak{M}_N) $$ である。よって直積測度の一意性(定理14.1)より $\mu=\otimes_{j=1}^{N}\mu_j$ である。ゆえに成り立つ。

定理14.5(Fubiniの定理)

$(X_1,\mathfrak{M}_1,\mu_1)$, $(X_2,\mathfrak{M}_2,\mu_2)$ をそれぞれ $\sigma$-有限測度空間、$f\in \mathcal{L}^1(X_1\times X_2,\mathfrak{M}_1\otimes\mathfrak{M}_2,\mu_1\otimes\mu_2)$ とする。$j,k\in\{1,2\}$、$j\neq k$ として、 $$ N_k:=\left\{x_k\in X_k:\int_{X_j}\lvert f(x_1,x_2)\rvert d\mu_j(x_j)=\infty\right\} $$ とおき、$F_k:X_k\rightarrow\mathbb{C}$ を、 $$ F_k(x_k):=\left\{\begin{array}{cl}\int_{X_j}f(x_1,x_2)d\mu_j(x_j)\quad&(x_k\in X\backslash N_k)\\0&(x_k\in N_k)\end{array}\right. $$ として定義する。このとき $N_k$ は $\mu_k$-零集合であり、$F_k\in\mathcal{L}^1(X_k,\mathfrak{M}_k,\mu_k)$ である。そして、 $$ \int_{X_k}F_k(x_k)d\mu_k(x_k)=\int_{X_1\times X_2}f(x_1,x_2)d(\mu_1\otimes\mu_2)(x_1,x_2)\quad\quad(*) $$ が成り立つ。

証明

補題14.3より、 $$ X_k\ni x_k\mapsto \int_{X_j}\lvert f(x_1,x_2)\rvert d\mu_j(x_j)\in [0,\infty] $$ は可測関数であり、Tonelliの定理より、 $$ \int_{X_k}\left(\int_{X_j}\lvert f(x_1,x_2)\rvert d\mu_j(x_j)\right)d\mu_k(x_k) =\int_{X_1\times X_2}\lvert f(x_1,x_2)\rvert d(\mu_1\otimes\mu_2)(x_1,x_2)<\infty $$ であるから、命題9.4より $N_k$ は $\mu_k$-零集合である。以後、$F_k\in \mathcal{L}^1(X_k,\mathfrak{M}_k,\mu_k)$ であることと $(*)$ を示すが、実部と虚部に分けて考えればよいので、 $f$ は実数値関数であるとして示す。 $$ F_k(x_k)=\int_{X_j}f_+(x_1,x_2)d\mu_j(x_j)-\int_{X_j}f_-(x_1,x_2)d\mu_j(x_j)\quad(\forall x_k\in X_k\backslash N_k) $$ であるので、補題14.3より $F_k:X_k\rightarrow \mathbb{R}$ は可測関数である。そしてTonelliの定理より、 $$ \int_{X_k}\lvert F_k(x_k)\rvert d\mu_k(x_k) \leq \int_{X_k}\int_{X_j}\lvert f(x_1,x_2)\rvert d\mu_j(x_j)d\mu_k(x_k) =\int_{X_1\times X_2}\lvert f(x_1,x_2)\rvert d(\mu_1\otimes\mu_2)(x_1,x_2)<\infty $$ であるから $F_k\in \mathcal{L}^1(X_k,\mathfrak{M}_k,\mu_k)$ であり、$N_k$ が $\mu_k$-零集合であることとTonelliの定理より、

$$ \begin{aligned} \int_{X_k}F_k(x_k)d\mu_k(x_k)&=\int_{X_k}\int_{X_j}f_+(x_1,x_2)d\mu_j(x_j)d\mu_k(x_k)-\int_{X_k}\int_{X_j}f_-(x_1,x_2)d\mu_j(x_j)d\mu_k(x_k)\\ &=\int_{X_1\times X_2}f_+(x_1,x_2)d(\mu_1\otimes\mu_2)(x_1,x_2)- \int_{X_1\times X_2}f_-(x_1,x_2)d(\mu_1\otimes\mu_2)(x_1,x_2)\\ &=\int_{X_1\times X_2}f(x_1,x_2)d(\mu_1\otimes\mu_2)(x_1,x_2) \end{aligned} $$ である。

次に読む

関連項目



トップ   編集 凍結 差分 バックアップ 添付 複製 名前変更 リロード   新規 一覧 単語検索 最終更新   ヘルプ   最終更新のRSS
Last-modified: 2020-10-25 (日) 15:05:07 (39d)